神奈川発のフラウンホーファーモデル?
この度、弊社、微粒子投射技術を有する不二WPC・サーフテクノロジーと多様なコーティング技術を持つ日本電子工業様、熱処理技術を提供する武藤工業様、金型の設計・製造を手掛ける昭和精工様に加えて、豊富な分析評価技術を保有する神奈川県立産業技術総合研究所様、理論構築を担う横浜国立大学で、複雑な表面課題にシステムソリューションを提供する「表面設計コンソーシアム」 https://surfacedesignconsortium.com/)を組織しました。
単一の技術では対応できない表面に関わるユーザーのニーズ・オーダー(表面課題)に対して、表面技術のスペシャリスト集団がエンジニアリングの立場から共同受注し、計測・評価を経た根拠のある合理的で最適なバリューコストを高める表面設計ソリューション、また、各種の表面損傷に対して寿命予測が可能な表面設計ソリューションを開発し提供することを目的とするものです。
一方で、将来的に必要とされるであろう表面課題に対応する複合処理の技術開発も行っていきます。
そのソリューション・サービスの流れは、まずは企業のニーズや課題をヒアリングし、76のフラウンホーファー研究所の中から適切な研究所を紹介・マッチングします。
研究機構内での幅広く密接な協力体制により、それぞれの分野に特化した各研究所の専門知識を提供できるほか、非常に広範なプロジェクト要件と複雑なシステムソリューションにも対応可能となっています。
表面に関するお困りごとがありましたら何でも、‟神奈川発フラウンホーファーモデル”を目指す当コンソーシアムに、是非ともご相談ください。
以下、「フラウンホーファーモデル」について。
公的研究機関の役割がしばしば比較される日本とドイツですが、ドイツの公的研究機関の特徴の一つとして、基礎研究が世界の最高峰にあるといわれる「マックス・プランク研究機構」、90弱の専門的な研究機関で構成される「ライプニッツ研究機構」など、公的な研究機関が数多く存在することが挙げられます。中でも、「フラウンホーファー研究機構」の果たしてきた産学連携における役割の大きな存在感は、残念ながら日本では比肩する機関が存在しないように思われます。
フラウンホーファー研究機構は1949年に創設されましたが、当初の研究開発業務がうまくいかなかったことから、1970年ごろにいわゆる「フラウンホーファーモデル」を作り上げ発展させてきました。フラウンホーファーモデルの要点は、産業界や公的機関との契約に基づく研究開発を主要な事業としたことでした。具体的には、年間研究費総額の約29億ユーロの予算のうち25億ユーロ超が委託研究によるもので、研究費総額の70%以上が民間企業からの委託契約、さらに公共財源による研究プロジェクトから発生しています。残りの約30%はドイツ連邦政府および州政府により、経営維持費としての資金提供が行われているというわけです。
フラウンホーファー研究機構の活動は応用研究とされ、その特徴の一つは大学との緊密な関係にあります。ドイツ各地にある、マイクロエレクトロニクスから材料・部材、光・表面技術、生産技術、ライフサイエンスまでの幅広い分野からなる76の研究所・研究施設のすべての所長を、大学の教授が兼任しています。これはイノベーションの源泉が大学にあるとの考えからで、所長を大学教授が兼ねることから、多くの博士課程学生やポスドクが大学から研究所に来てフラウンホーファーの活動に参画します。そうした若手人材は契約している企業と接触する機会が多いため、自然とその研究は実用的な応用研究となり、また、博士号取得後には企業が熱望してやまない人材として就職していく、というキャリアパスも確立しているようです。
フラウンホーファー研究機構では、ビジネスの成功の重要な鍵を握るのはアイデア力と、そのアイデアを市場ニーズに合わせた製品へすばやく変換する能力ととらえ、情報とノウハウ伝達の迅速化を主な目標に掲げています。その各研究施設は、企業規模や産業分野を問わず、先端設備を備えたテストアウトソースとして、また専門分野に特化したサービスパートナーとして、あるいは組織上・戦略上の問題を相談できる熟練したコンサルタントとして活用されています。各研究所の擁する多くのプロジェクト・品質管理プロセスはクライアントの課題解決や質の高いアウトプットに貢献しています。