薬剤耐性菌に対策あり⁉
感染症を引き起こす細菌を殺したり、細菌が増えるのを抑えたりする抗菌薬(抗生物質)が効かない、「薬剤耐性菌」。薬剤耐性菌による死亡者数は全世界で100万人を超え、エイズウイルス(HIV)やマラリアよりも多くの命を奪っているようです。
比較的高度な治療が受けられ、院内感染対策も進んでいる日本では、薬剤耐性菌の感染症の発生数は少ないとはいえ、主要な薬剤耐性菌による死者数は年間1万数千人に及ぶと見られ、入国制限の緩和された現在、衛生・医療の対策が十分に整っていない国からの薬剤耐性菌の流入による、感染者数の増加が懸念されています。
約100年前に見つかったペニシリンをはじめ様々な抗菌薬が出てきましたが、抗菌薬がたくさん使われるようになると、薬の成分を分解したり体にくっつかないように変位したりして耐性を身につけた細菌が、いろいろと登場してきました。そうした薬剤耐性菌に感染して薬剤耐性を持つようになっても、毒性が高まるというわけではなく、健康な人ならば免疫で抑えられることも少なくはありません。それでも、子どもやお年寄り、持病がある人などは薬剤耐性菌への抵抗力が弱く、感染症にかかることがままあります。効く薬が少ないために治すのが難しく、重症化したり死亡したりすることもあり、中でも多くの抗菌薬が効かなくなる「多剤耐性菌」も問題になっています。
身近な細菌の中にも、薬剤耐性菌を持つ黄色ブドウ球菌や大腸菌などがあります。薬剤耐性菌への対策の一つとしては、新薬を作ることが挙げられますが、新薬が実際に使えるようになるまでにはお金も時間もかかるうえ、新薬ができたとしてもそれにもいずれ耐性菌が現れるという、イタチごっこの様相を呈しています。
こうした問題に対し当社の微粒子投射処理「マイクロディンプル処理®(MD処理®)」は、処理を施した基材において大腸菌や黄色ブドウ球菌に対する抗菌性能が付与されることが、大学や研究機関との実験と検証により確認されています。MD処理®はコーティングでもなく薬剤も使用せずに、形状による物理的作用を実現するため、薬剤耐性菌ができる心配がない安心・安全の手法と言えます。
弊社では現在、大学と共同で、MD処理®の大腸菌や黄色ブドウ球菌などに対する抗菌に関するメカニズムを解明しつつあります。薬剤耐性菌への対策ともなりうる、抗菌処理としてのMD処理®に、ぜひとも今後もご注目ください。